日本の高校生は2,906,981人のうち約1/3にあたる1,007,925人は私立学校に在籍しています。(文部科学省/令和6年度学校基本調査・速報値)少子化の中で私立高校が果たしている役割が大きいことがわかります。
そのことから、時代の変化に対応した新しい教育への考え方や取り組みや少子化という経営的に困難な時代にどのように乗り越えていこうとしているのか知りたいと思っていました。
そして、できれば私立学校経営者に会って知りたいと思っていたのですが、今回、私立学校の次のリーダーを育成する研修会があることを知り、取材を申し込んだところ急な申し出であったにもかかわらず、快く取材の許可をいただききました。以下そのレポートです。
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鹿児島で創る未来:私学の次世代リーダーが集う研修会をレポート
11月28日(木)29日(金)の両日、、鹿児島市の城山ホテルで開催された「令和6年度私立学校専門研修会・次世代リーダー育成部会」(主催:一般財団法人日本私学教育研究所)に参加する機会を得ました。この研修会は、全国の私立中高から次世代の校長や理事長候補者、現職の校長・理事長、そして管理職幹部が集まり、少子高齢化や教育の多様化という課題に挑むリーダーとしての創造性を磨くための場です。
今回のテーマは「経営にCreativityを!~新しい時代への挑戦~」というものでした。参加者約50名が、未来の経営ビジョンをデザインするための知見を深め、同時に全国規模のネットワークを構築する充実した二日間となりました。
一日目 鹿児島という舞台で始まる挑戦
初日は、平方邦行日本私学教育研究所所長の主催者挨拶、原田賢幸鹿児島県私立中学高等学校協会会長(原田学園理事長)の開催地代表挨拶、菅沼宏比古次世代リーダー育成専門委員長(西海学園理事長)より研修会運営方針と説明が行われた後、吉田晋・日本私学教育研究所理事長/日本私立中学高等学校連合会会長(中央教育審議会委員)/富士見丘中学高等学校理事長・校長による基調講話から研修会は始まりました。
基調講話では、文部省をはじめとした公的統計データとアンケート結果を使って私たちの社会の現状と直面するこれからの学校の課題を浮き彫りにしながら、学校経営における創造性の必要性を力強く語られました。私学教育における課題解決の視座を提供しつつ、参加者である次世代の私学のリーダー達に自覚と深い思考を促す内容でした。
地域とクリエイティブ産業の可能性
吉田会長の基調講演に続く特別講演は、鹿児島の株式会社HEIYA代表の佃永喜 氏(鹿児島出身)が登壇。「地域社会におけるクリエイティブ産業の挑戦と機会」というタイトルで、自身のユニークな起業体験とこれまで制作したアプリや映像作品を紹介しながら地域とクリエイティブ産業の相互作用がどのように未来の価値を生み出せるのかを語りました。特に「地域との連携と最新のテクノロジーを使ったデジタルデザインを経営に取り込むことで地方にあっても全国レベルの仕事ができる」という視点は、参加者にとって新鮮で刺激的だったようです。
本音で語る意見交換会
その後の意見交換会では、5つのグループに分かれ、教育の課題や組織の問題について熱い議論が交わされました。学校経営の実際の悩みを共有し合う中で、参加者同士の距離が一気に縮まっていく様子が印象的でした。こうした機会を作っているからこそ互いに顔の見える私学のつながりが作られているのだと実感しました。
ネットワークパーティーでさらに深まる私学の絆
夕方には城山ホテルのディナーを囲んでネットワーキングパーティーが開催されました。各テーブルでの短い自己紹介スピーチを通じて、昼間の議論をさらに深め、新たな人間関係が築かれました。「この場があるからこそ話せることがある」と感じた参加者も多かったのではないでしょうか。
二日目の実地視察
2日目は、教育の最前線に触れる時間。訪れたのは、先進的な教育に取り組む鹿児島情報高校。学校施設を見学し、最新の教育や取り組みについて直接学ぶことができました。
充実した教室と施設を見学
校内見学後に大教室で学校紹介
ビジネスコンテストで入賞後に起業した生徒達のプレゼン
午後には、知覧特攻平和会館を訪問。過去を振り返りつつ、平和を考え、未来をどう構築していくべきかを考える重要な機会となりました。二日目の実地視察は、単なる教育経営の研修を超え、人間としての学びを深める時間でもあったと思います。最後は鹿児島市に戻り解散。非常に濃密だった二日間が幕を下ろしました。
まとめ
今回の研修会は、単なる学びの場を超え、次世代リーダーたちが、未来への足掛かりをどのように得ていくのかを知る貴重な機会でした。鹿児島という特別な場所で、創造性という武器を手に、どのような未来が描かれるのか。これからの展開が非常に楽しみです。
参加者の熱量や語られる内容から、多くの可能性を感じることができたこの研修会。次世代を担うリーダーたちがこの経験を活かしてどのように変革を進めていくのか、私自身も引き続き注目していきたいと思います。
最後に、私立学校の現状とこれからのビジョンを知る機会を得たことは大きな実りでした。取材の便宜を図っていただいた一般財団法人日本私学教育研究所に心から感謝申し上げます。