2021年8月3日、GKB事務局は崇城大学(熊本県)を訪問し、広報課長今野京さんにインタビューを行いました。今野課長には、7月9日に実施したGKB大学広報オンラインセミナーで「大学広報の効率化」ついてプレゼンをいただきましたが、当日語りつくせなかったことを、お話しいただきました。
大学案内は、高校生の目線を意識して
今野さんが崇城大学に入職したのは2010年。前年度に制作された分厚い大学案内について、高校訪問をする職員が「これは私たちの辞書」と言ったのがショックでした。“辞書”は高校生に読ませるものではありません。高校生に読んでもらえる大学案内でなければならないと思い、これまでの大学案内を一新しました。ページ数を半分に減らし、写真やイラストを多用して、メリハリのあるレイアウトにしました。コストも抑えられたことは言うまでもありません。
高校生や保護者に分かりやすい奨学金の説明
崇城大学では2013年に「未来人育成特待生制度」という奨学金を作りました。当初、この奨学金はA特待、B特待、C特待という種類に分かれ、受験生は、支払う学費を自分で計算する必要があり、分かりにくいものでした。先ほどの大学案内の辞書の話と同じように、高校生に説明を読ませ計算させるませるものになっていました。
今野課長は、この奨学金について、まず名称について、短くてインパクトがあるように「ミライク」というあだ名(略称)を付けました。当初は学内から違和感を覚える声があったようですが、長年使っているあだ名なので今では特待のミライクとして外部からも認知されすっかり定着しているそうです。
次に、奨学金の概要がすぐにわかるように、制度を整理しました。具体的には、授業料が0になる「ミライクプレミアム」と、年額50万円になる「ミライク50」に整理して、計算しなくてもわかるようにしました。なおそれぞれの奨学金は、入試の得点率と成績順位に応じて選考されます。「ミライク50」においても取得できると国立大学よりも安い授業料になりますので、特に国立大学の受験者の併願を狙っています。
そして、この奨学金の告知を、年末に九州地方の車内ポスターおよびテレビCMで行っているそうです。ポスターは分かりやすくシンプルにする、CMは「大学進学」という文言を冒頭に持ってくるなど、受験生や保護者にしっかり届くように工夫して作っています。受験生のほか、高校の先生からもお問合せをいただいているそうです。
このようにターゲットに確実に伝わることを意識して広報物を作成する姿勢は、紙媒体でもホームページであっても変わらず貫いています。
崇城大学でのアントレ教育
現在、崇城大学が力を入れている教育の一つに、アントレプレナーシップがあります。アントレプレナーシップは「起業家精神」を意味しますが、崇城大学では起業の有無にかかわらず「新しいことにチャレンジする考え方」を指しています。大学卒業後にさまざまな職業において活躍するための基礎となる力を大学在籍時に身に付ける教育プログラムとして、「崇城大学アントレ教育」を展開しているそうです。
すでにアントレを実践している学生の例として、現在、大学院工学研究科の博士後期課程3年在籍の古賀さんを紹介していただきました。古賀さんは熊本県の特産品である球磨焼酎の粕を使って、農作物の栄養となる微生物“光合成細菌”を増やすキット「くまレッド」の開発・販売をする事業を起業し、株式会社Ciamo( https://ciamo.co.jp/ )を設立しています。設立にあたっては崇城大学の起業部で相談にのってもらったとのことです。大学での研究が、自身が立ち上げた事業に結びついている学生の今後の活躍が楽しみです。