2024年8月24日(火)、第9回GKB48教育カンファレンスは、直前まで台風の影響が心配されましたが、無事に行われました。テーマは「高大社を巻き込む『探究』のインパクト」。会場「渋谷アクセスフォーラム」開催および、Zoomによるライブ配信を並行して行うハイブリッド形式でした。
(報告:GKB48事務局、写真:石原康男)
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午前は「探究」を中心に
午前の部は「探究」をテーマにした3名の方のプレゼン。本間正人さん(京都芸術大学客員教授)の「探究の色は何色ですか?」のアイスブレイクともいえる問いかけをきっかけに会場内でのグループワークが始まり、場が一気になごみました。「探究の指導者こそ最新学習歴を更新するべき」という提言はその通りです。
その後、宮地勘司さん(株式会社教育と探求社)による、多くの中高生が取り組む探求学習プログラム「クエストエデュケーション」を通じた高校生の学習の成果の紹介や、岡本尚也さん(一般社団法人Glocal Academy)による「探究学習」が目指す姿を、現状を踏まえた改善策などが提示されました。お二人とも現場での実践に基づく発表で、視聴者からも質問が相次ぎました。
(なお宮地さんは、実は本教育カンファレンス第1回(2012年開催)の登壇者でもあり、その時からの「探求活動」の継続に、事務局では感動を新たにしました。)
データ分析や海外大学の現状紹介など多彩なテーマも
午後は、オンラインを通じて、北陸大学の田尻慎太郎ゼミ生、学生2名(石崎颯士さん、芝田虎太朗さん)によるTableauでのデータ分析を通じた取り組みを紹介。大学では「数理・AI・データサイエンス教育」が必須となっていますが、北陸大学ではソースコードを利用しないBIツールTableauを採用しています。地域連携活動プロジェクトにつながる北陸地方の性理解の現状の研究や、コンテストの受賞など積極的に学外での活動も積極的に取り組まれているとのこと、まさに「探究」活動の実践です。
その後は、昨年に引き続き、アメリカ・カリフォルニアのリベラルアーツ系大学運営に関する長沢誠さん(埼玉大学)の登壇。海外の事例ですが、コロナ禍を経た、リベラルアーツや小規模大学の大学運営の報告は、多くの参加者が注目し、好評でした。
プレゼンの最後は、渡邉純一さん(一般社団法人ファーストスタープロジェクツ)による、インタビュー動画「夢と学びの世界」制作の紹介。技術革新や学校を取り巻く環境の変化により「学び」が変わってきており、映像を活用した学習が今後もより進化・深化していく現状をプレゼンいただきました。
またプレゼン後に、今回協賛いただいた企業のご紹介もしました。(ご協賛ありがとうございました)。
学生も積極的に参加したワークショップ
午後は、2019年のカンファレンスより恒例となりつつあるワークショップ。プレゼンをもとに参加者同士が約2時間ディスカッションしました。ファシリテーター阪井和男さん(明治大学名誉教授)による、オープンスペーステクノロジーの説明の後、主に「探究」をキーワードとして、活発なグループディスカッションが行われました。
特に今回は学生も話し合いテーマの提案に積極的に取り組み(アジェンダ形成)、会場では幅広いテーマ(入試、就職、産学連携、教育制度改革等)白熱した議論が行われました。
次のカンファレンスは第10回
次のカンファレンスは、いよいよ第10回。最後の挨拶で、GKB事務局長の山下研一から「記念すべき第10回の開催に向け、来年度に向けて、1年かけて盛り上げていきたい。勉強会などのイベント開催も増やしてまいります」との宣言がありました。皆様、今後とも、よろしくお願い申し上げます。
オンデマンド視聴ができます
なお、プレゼン・ワークショップとも、オンデマンド視聴が可能です。都合が合わず参加できなかった方、ぜひご視聴ください。11月4日まで視聴受付中です。下記より申込を受け付けています。https://gkb48-240827ondemand.peatix.com/
(参考)参加者の感想
・探究についての議論は、教育そのもの、生きることそのものに関わる議論であることを再認識した。それゆえに、ワークショップの時間がもう少し欲しかった。(大学)
・今年度より高校での探究を評価する入試を新たに設けたため、現場での「総合的探究」や「課題研究」についてお話を聞けたことは非常に参考になりました。(大学)
・会場での参加がすばらしかった。OST(後半のディスカッション)で「探究を入学選抜に使ってよいのか?」というとても意義あるテーマが出て有意義なディスカッションができました。中高の先生が少なかったのは残念でした(大学)
・探求学習とは何か、改めて知ることができたり、事例を映像で見ることができてよかった(大学)
・探究の本質を理解することができた。(高校)
・本間先生のご講演が素晴らしく、学びの機会となりました。講演中の探究の色のワークショップも、他の参加者とお話する機会になり良かった。(企業)
・「探求」とななにか?という根本から、米国の大学の財務・運営の話題までと、多岐にわたる講演を拝見できとても有意義でした。(企業)
教育学術新聞にも記事が掲載されました(2024年9月4日付)。