学校広報ソーシャルメディア活用勉強会(通称:GKB48)では、7月より対面の勉強会を再開し、10月5日(水)17時より、探究学習と高大接続をテーマに高校・大学限定の勉強会を情報経営イノベーション専門職大学(略称iU)にて開催しました。前半は高校・大学より3名の発題、後半は参加者でグループディスカッションを行いました。
※勉強会のプログラムはコチラ

最初の発題者、福島大学の教育推進機構 准教授の前川直哉さんは灘高生の時に阪神淡路大震災で被災、苦労して東大進学され、卒業後に母校の教師として戻られました。東日本大震災を機に、生徒と福島でのボランティア活動を行う中で福島へ移住、教育NPOを立ち上げられました。福島では原発事故をはじめとした地域の課題が多く、大学数が少ないことで、高校生の社会活動が盛んですが、よりよい社会にするための「社会力」を養うサービスラーニングを定着させる、小学校・中学校・高校・大学および地域で連携した「福島モデル」創出に向けた活動を推進されているとのことでした。

福島大学 教育推進機構 准教授 前川直哉さん

次の発題として佼成学園女子中学高等学校 教頭の西村準吉さんからは、長年の進路指導の経験も踏まえ、複数の大学との連携事例を紹介いただきました。高大連携では教育の連携につながる努力をされているとし、新科目「キャリアデザイン」での生徒が大学の授業を受講し、進路(針路)選択の参考にもしていること、総合型選抜対策講座の設置等の具体的な実践例も説明いただきました。

佼成学園女子中学校高等学校 教頭 西村準吉さん

iUはビジネス、ICT、グローバルを中心にキャリア教育を進めており企業連携の授業が盛んな専門職大学です。最後の発題者、事務局長の宮島徹雄さんからは、ICTや経営を中心に多くの高校と連携して行っている授業事例や課題などを共有していただきました。

情報経営イノベーション専門職大学(iU) 事務局長 宮島徹雄さん

後半のグループディスカッションでは1時間にわたり高大連携や探究学習の事例紹介や課題について共有がありました。大学による高校訪問はよく行われますが、高校・大学間で教育をじっくり語り合う機会は多くありません。参加者からは「福島の教育事例は探究学習の原点であり新鮮だった」「リアルならではの話が聞けて有意義」「高大連携の前に高校と大学が顔を合わせる機会は貴重」という感想がありました。(参加者約40名、全3時間)

【事務局より】今回の勉強会実施にあたりましては、iUさんより会場のお申し出、3名の方の発題をはじめとして、受付、撮影、記録、事務運営にあたりましても参加者の皆さんのご協力をいただきました。改めて御礼申し上げます。

感想の詳細
<高校より>
●福島県でのサービスラーニングの学習は、目の前の地域の課題にいかに対応するかという観点で取り組まれており、探究学習の原点ともいえ、目が覚める思いでした。

●新しい発見もあり、とても有意義な時間をいただきました。大学の方とはなかなかお話をする機会がありませんので、大変刺激を受けました。とても勉強になりました。

●高校と大学がGKBのようなソーシャルファーストな気持ちで、顔を合わせる機会というのは、今後、高大連携を実現するためのアイスブレイクとして重要になってくるのかもしれないと確信しました。今後も継続的にこのような交流のイベントが実施されることをお願いしたいです。

<大学より>
●佼成学園女子高校の西村先生の発題は示唆に富むものでした。進路と針路、入試種別による高大接続の意義、スコレータイム等など、大学側の理解不足を再認識した機会となりました。

●3名の登壇者の方のお話は、それぞれ違う観点からの内容で大変勉強になりました。ディスカッションについても、高校、大学、教員、職員と、様々なお立場の方のご意見を伺えたことで有意義な時間となりました。短時間では語りきれない奥深いテーマであったと感じます。

●高校の探究学習について、きちんと取り組んでいる学校はかなり進んでおり、学ぶべきことが多かったです。やはりしっかりと取り組もうとすると専属の方が必要であり、またサポートする部署も単体ではなく、複数のコミュニティを作ってサポートすることで、生徒1人1人に対してカスタマイズしたフィードバックが与えられると感じました。「高校」と「大学」が学習者に対して何をGOALにするのかを統一する必要があるという意見にとても賛同しました。

●実際はどうなのかと思っていた「探究学習必修化により進路指導の現場で起きている変化」についてもリアルに確認でき、大変ありがたかったです。グループディスカッションで事例をご報告くださった、ある高校の先生からは、大学や企業サービスの活用でマンパワー不足を乗り越えておられるようでした。また他の高校の先生からは、複数の高校と複数の大学の協力体制による高大連携の形のご提言もいただきました。発題でもディスカッションでも、対面ならではのお話を伺うことができたことに深く感謝申し上げます。

●高校の先生方だけでなく、他大学の先生方とも情報交換ができたので有意義でした。

高校と大学のグループディスカッション