12月9日、GKB48は大学・高校の教職員を対象に、生成AIをテーマとしたセミナー「『AIを教える』から『AIと共に学ぶ』へ――生成AI時代の高大接続」を開催しました。
第1部では、聖徳学園高等学校、文京学院大学からの教育実践報告をもとに、生成AI時代の高大接続と学びのあり方について、初年次教育学会理事による提案が行われました。
第2部では、企業による教材紹介を通じて、高校から大学への円滑な学びの接続や、AI時代に必要とされる基礎力を支える取り組みが紹介されました。

高校・大学の実践から考える「AIと共に学ぶ」学び

第1部では、高校・大学の教育現場からの実践報告と提案が行われました。
生成AIをめぐる議論は、単なるツールの活用方法にとどまらず、「学びそのものをどう捉え直すか」という視点へと広がっていきました。

高校からの報告:探究と生成AIはどう結びつくのか~聖徳学園高等学校

ドゥラゴ英理花氏(校長補佐・データサイエンス部長)からは、データサイエンス教育と探究学習を組み合わせた高校での実践が紹介されました。
探究で重視しているのは、答えを出すことではなく「問いを立てる力」であり、生成AIはその過程を支える存在として位置づけられています。高校段階で目指すのは専門的な技術習得ではなく、将来にわたって学び続けるための素養を育てることだという視点が示されました。

大学からの報告:探究の「その先」をどう引き受けるか~文京学院大学

浜正樹氏(ヒューマン・データサイエンス学部長)は、高校で芽生えた探究心を大学がどのように引き受け、次の学びにつなげていくかについて報告しました。高校生・大学生・企業が混成チームで取り組むアイデアソンの事例を通じて、探究の問いを社会や研究へと発展させる可能性が示されました。
生成AIは、分析や可視化を効率化する道具ではなく、思考を前に進めるための補助として活用されており、高大接続の一つの形が提示されました。

提案:生成AI時代に求められる学びのリテラシー

成田秀夫氏(初年次教育学会 理事・日本文理大学 客員研究員)からは、生成AIを活用する学びを高校・大学・社会の連続性の中で捉える視点が示されました。
重要なのはAIを「教える」ことではなく、出力を理解し、疑い、判断する力を育てることだといいます。生成AIを思考の「壁打ち相手」として活用することで、学習者の主体性を支える学びが成立するのではないかという問題提起が行われました。

質疑応答・クロストーク

続く質疑応答・クロストークでは、成田氏がモデレーターを務め、会場から寄せられた質問をもとに、高校・大学それぞれの立場から意見交換が行われました。
生成AIの導入にあたっての悩みや、探究と教科学習の関係など、現場に即した論点が共有され、発題内容を補足する形で議論が深められました。

第2部:企業による教材紹介

第2部では、生成AI時代の学びを支える教材について、2社から紹介が行われました。

株式会社クリプトンからは、基礎力の習得を目的とした情報・データサイエンス分野のeラーニング教材が紹介されました。高校から大学教育へと円滑に接続することを意識し、生成AIを活用する前提となるリテラシーや基礎的な理解をどのように身につけていくかという観点から説明が行われました。

株式会社クリプトン 高校から大学教育へ円滑に移行するためのリテラシー講座のご紹介

また、共同印刷株式会社からは、高校生論文プログラム教材が紹介されました。自ら問いを立て、考え、表現する力を育てることを目的とした教材であり、生成AI時代においても人が担うべき思考力や表現力の重要性が示されました。第1部で議論された探究学習や高大接続の内容とも重なり合う形で、学びを支える具体的な手段として位置づけられていました。

共同印刷株式会社 AI時代に生きる力 アカデミックアセスメントプログラムのご紹介

参加者の声

最後に、参加者から寄せられた感想を一部紹介します。
・聖徳学園高等学校のスライドやお話が大変参考になり、将来に備えて自己研鑽を続けようという気持ちになりました。(高校)
・探究活動に生成AIをどう導入するか悩んでいた中でのセミナーだったので、楽しみにしていました。大変勉強になりました。(高校)
・生成AIについては、今後さらに活用することになりそうです。また機会があれば参加したいと思います。(高校)
・浜先生の新学部の開講が楽しみになりました。開講後のお話もぜひ伺いたいです。(大学)

おわりに

本セミナーの内容は、オンデマンド動画として視聴いただけます。
各発題や質疑応答・クロストークの詳細については、ぜひ動画をご覧ください。
(学校教職員対象/要申込・参加費 1,100円(税込))