学校広報ソーシャルメディア活用勉強会(通称:GKB48)では、高校と大学を対象とした勉強会を10月31日(月)午後6時より、グランフロント大阪ナレッジキャピタル ナレッジサロンにて開催しました。今回のテーマは「これからの高大連携、さらに社会との連携のあり方を考える」として、前半には、大学・高校から4名の方による様々な角度からの発題をいただき、後半で高校および大学の参加者でグループ・ディスカッション行いました。
(詳細プログラムは、コチラ

最初の発題者は東京の勉強会(10月5日開催)でもお話いただいた、福島大学 教育推進機構 高等教育企画室 准教授の前川直哉さん。関西の出身であることから今回もご出張いただき、福島での高校生や大学生のサービスラーニング(社会貢献活動を通した学習)の事例をご紹介いただきました。受験学力では対応できない、正解のない問いに、自らの課題を発見するという学びの姿勢には説得力がありました。

福島大学 教育推進機構 高等教育室 准教授 前川直哉さん

次の発題は、常翔学園中学校高等学校の校長、田代浩和さん。常翔学園は創立100周年を迎えた伝統のある学校ですが、教育改革にも熱心で早くから常翔キャリアップチャレンジとしてキャリア教育に力を入れてきました。田代さんはもともと、外に出ることに気が向かなったとのことですが、紹介されたGKBにも初期の頃から参加、次第に外部の勉強会にも出るようになり、よい取組事例を校内で紹介・提案するようになったとのことです。今では学園内大学のサポートを得ながら研究を行うガリレオプランや、企業インターンシップを教室で体験する企業探究学習をはじめとした、数々の高大連携、社会連携プログラムによって生徒を自律的学習者に育成する教育先進校を目指されていることをご紹介いただきました。

常翔学園中学校高等学校 校長 田代浩和さん

3番目の発題は京都文教大学・短期大学の社会連携部入試広報課の井出大地さんによる、探究学習を通した高大教育連携・接続の事例の紹介。大学の教育目標につながる、自他共に幸せを感じられる共生(ともいき)社会の実現や「ともいき人材」育成を目指し、近隣の公立高校との連携を土台にしっかりとした探究学習の設計や取り組みを行い、それが入試や入学前プログラムにも接続されているとのことでした。

京都文教大学・短期大学 社会連携部入試広報課 井出大地さん

最後の発題者、梅花女子大学 企画部長の藤原美紀さんからは、大学のキャッチフレーズにつながる、品性や思いやりという「エレガンス」を持ちながら、自ら問題を発見し、解決する「チャレンジ」し続ける力を培う教育として、全学生に課すという275もあるという産学連携事例の一部を紹介いただきました。大学の学びと企業ニーズをベースとして、女子大生ならではの柔軟な感性を生かして、何らかの「成果物」を生み出す、数多くの事例に参加者一同が圧倒されました。

梅花学園 常務理事・梅花女子大学 企画広報部長 藤原美紀さん

勉強会の後半では、参加者同士のグループ・ディスカッションが行われました。高大連携や探究学習には意義を感じても人や時間等の不足をはじめとした様々な壁があるという、高校・大学それぞれの苦悩や課題が共有されました。一方で、発題はもちろん、学校を越えての情報・意見交換は刺激的で新たな視点も得られるという声も多く聞かれ、学校種、所属部署の違いを越えた活発な交流の機会となりました。

【事務局より】今回の関西勉強会実施にあたりましては、4名の方の発題をはじめとして、会場準備、受付、撮影、記録、事務運営にあたりましても参加者の皆さんのご協力をいただきました。改めて御礼申し上げます。(参加者 約30名・3時間)

<参加者の意見・感想>
・久々の大阪での対面イベントで、刺激を受けました。それぞれの発題者からの投げかけもとても刺激的でした。(大学)

・福島大学の前川さんが発題で説明された「サービスラーニング」という考え方は、産学連携、ボランティア活動、キャリア教育など、様々な教育プログラムに通じることをあらためて実感しました。(大学)

・大学で産学連携というと企業に提案、という形で終わることが多いが、梅花女子大学では、「成果物」まで出し、学生が就職活動に結び付けている仕組みが素晴らしいです。(高校・大学)

・高校生・大学生・高校・大学それぞれがお互いの立場で、高大連携や探究学習の魅力を感じないとうまく結合ができない。(高校・大学)

・高大連携でよくある形として大学から高校に出前授業にいらっしゃることがありますが、講義型の授業では生徒が寝てしまいます。高校生が分かりやすいような内容で生徒の発話を促すようなワークショップ等の形など工夫していただけると助かります。(高校)

・登壇者の方のお話がどの方も興味深く、聞き入ってしまいました。一方で、ディスカッションが、人的リソースの欠如を理由に止まってしまったときがありました。それこそ仕方ないのかもしれませんが、それを見越してディスカッションのテーマを工夫するなどしてもいいかもしれません。(高校)

・高大連携による探究学習は大切だと思いますが、小規模の大学だとマンパワーが不足しており、なかなか手を出しにくい。(大学)

・「高大接続」「高大連携」という言葉は共通だが、その捉え方や力点の置き方、具体的なプログラム設計の観点などは高校や大学ごとでまったく違うということが勉強になりました。(大学)

・異なる組織を連携することはとてもエネルギーが必要であり、そのエネルギーの多くが組織的な構築ではなく個人の力に頼っているという現実に課題と可能性を感じました。(大学)

・3時間でも足りないくらい、中身の濃い時間でした。やはり、対面に勝るものはないなと感じました。ディスカッションは話しきれなかったという意味では物足りなかったかもしれませんが、もっと話したいと思えるだけ皆さんのエネルギーが溢れていた場所だったと思います。(大学)


※以下、追記しました(2022.11.8)

・会場がとても良かったです。(アクセス面、講演やディスカッションのスペースとして)(大学)

・田代校長の「進学校から教育先進校へ」という言葉、教育現場におけるラガード(流行に無関心な保守派)の話が印象に残りました。(大学)

・時間的な制約とはいえ、ディスカッションの時間がもう少しほしかったです。(大学)

グループディスカッション(ナレッジサロン プレゼンテーションラウンジ)
グループディスカッション(ナレッジサロン プロジェクトルーム)